はじかれ人の生活

孤独な障害者の生き方

老いた両親との生活

最近父が薬を飲み忘れるようになった。

朝食後には私も薬を飲むが両親も飲んでいる。

母は毎日決まって薬を欠かさないが、どうも父は最近飲み忘れが多いらしい。

それを母がきつく注意したところ父が珍しく逆上した。

昔は毎日のように母と喧嘩していたが90を過ぎてからはなくなっていた。

そこで私が間に入って仲裁したのだが父の怒りは収まらなかった。

母が父の薬の入ったビニール袋を奪ったのが原因らしい。

私は父の薬の袋を母から奪い父に返した。

父は少し怒りを鎮めて薬を袋から取り出し始めた。

しかしなんだかグズグズしていたのでどうしたのかを聞いたところどうもどの薬を出していいかが分からないようだった。

そこで私が代わりに薬を出してやると少しだけ納得したようだった。

父の薬は4種類ですべて一つの袋に入っている。

その中から一粒づつ出せばいいのだが父は何故かビニール袋の中で取り出すのでどれかが分からなくなってしまう。

私は1種類づつ違う袋に分けてやった。

それぞれの袋から1粒づつ出すんだよ言ったが分かったかは不明。

こんなことは昨年まではなかった。

だんだんと分からなくなってきている。

仕方がないもう92なのだからなと自分を納得させた。

母もやっと理解したらしくそれ以上父を責めることはなかった。

母は88だが頭ははっきりしていて細かい薬なども名前を憶えて整理している。

だから良くわからない父を見るとイライラしてしまう。

老いた両親の面倒は大変だがまだ介護とまではいっていない分いいのかもしれない。

しかし老いていく両親を見ていると時々悲しくなる。

自分が3歳の時から共働きになり必死に働き50代でやっとこ小さな家を買いひっそりと生きてきた。

贅沢などせずただ日々を淡々と。

外食や旅行などなにも無駄遣いすらせずただ必死で働き歳をとってきた。

この先も同じように淡々と生きていくことだろう。

そんな両親を若い時は馬鹿にしていたが今は尊敬するようになった。

人間の生活なんてひっそり静かに暮らせるだけで充分幸せなんだと分かってきたからだろう。

これからもずっと元気に暮らせればいいなと思った。

ひっそりと

誰かが言っていたな。

「偉くならなくていい。人から喜ばれる人間になれればいいと。」

まったくその通りだ。

人から喜ばれればそれだけで幸せだ。

私はとりあえず両親に喜ばれればそれでいいな。




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